奄美に来ています。
トタン屋根を打つ雨音で目が覚めた。
奄美の朝だ。
10時過ぎに寝て、4時には目が覚めてしまった。それほど深く眠れたと言うことだろうか。
昨日は、奄美への着陸が危ぶまれながらの、羽田離陸だった。
石垣島付近をぐるぐる回っている台風の影響で、奄美も、大風が吹いているという。
鹿児島、もしくは宮崎への着陸になるおそれもと、電光掲示板には書かれており、ちょっとひやひやしていたが、
羽田を離陸した飛行機は、ぐらぐらと揺れながら、相模湾上空を南へ向かった。
今日は、ずっとこんなに揺れるのだろうかという不安が胸をよぎる。無事についてくれと、久しぶりに願っていた。
到着した奄美は、案の定、雨の中だった。
空港ロビーに入ると、むっとする熱気が、奄美らしくてうれしかった。
雨の中何をしようか。マングローブのカヌーに乗る?泥染めがいいかな?
奄美の泥染めを体験してもらおう!予約を入れると、大丈夫という返事をもらい、早速工房へ向かった。
たくさんの人が訪れていて、工房の人気がわかる。
来る途中でスーパーで買った卵おにぎりをほおばりながら、先客の子供たちの染める様子を見ていた。
子供たちの着ていたTシャツがすでに泥だらけになっており、「それも染めちゃえば?」と染められていた。
できあがった作品に、子供たちは大喜びしていた。
車輪梅液と石灰水に、交互に何度も染めていく。そし後、泥の中へ入れた布は、黒に変化する。
車輪梅液が、きっちりと染まっていればいるほど、布は黒く輝く。
その布を、空気にさらし、その黒さは一段と輝きを増し、黒の美しさは、何とも表現しがたい神々しさを帯びる。
一度体験しているはずなのに、同じ感動が沸き上がってきた。
ここでは、シンプルに布を縛り模様を付ける指導をしてくれる。それが気楽でいい。そして、本場大島紬を染め上げている職人の腕による、本格的な染めの指導。
何度聞いても、勉強になる。
泥が終わり、結んだひもを外し、作品が表れてくる。思ったようにいったもの、想像以上のも。どれもすばらしかった。
気がついてみればもう時計は6時を指していた。
長丁場をつきあってくれた肥後染色さんありがとう。
夜の道を、一路、今夜の宿をとってある、南大島へ向かった。
奄美の夜の道、こんなに暗かったっけ?
前を行く車のテールランプが道しるべだ。
名瀬の町を過ぎると、夜の闇はいっそう深くなり、対向車のライト、反射板が道案内になった。
くねくねとしたつづら折りの道だけが、目の前に迫る。
友達が、車酔いをした。
ごめん、気がつかなかった。
こんなくねくね道、無理もない。昼間だったら、まだ視線を遠くにやれるが、今は、目の前のくねくね道しか見ることがない。
気がついてみれば、信号のない山道、30分近くは、ノンストップになってしまっていた。
なれない体にはきつかったに違いない。
それでも、なんとか、宿に着くことができた。暗くて、宿のある集落さえ見落としそうだった。
予定よりだいぶ遅れての到着なったが、宿の女将さんは優しく迎えてくださって、それが嬉しかった。心を優しくしてくれるのは、やっぱり笑顔だなぁ。
無事に一日目終了。
今日は何をしようか。次第に空が明るくなってきた。雨音はするのに、一斉に虫が鳴き始めた。いい天気になるのかな?