奄美の空も高くなりつつあった。
その空を、優雅に舞うのはサシバだ。
「サシバが舞えばガン(カニ)が川を下りてくる」と教えてくれたのは、住用の叔父だった。
ガンの季節だなぁと思っていると、「サシバが舞えばひゅーぬ ぃゆの季節だ」と赤尾木の友人が教えてくれた。
ひゅーぬぃゆとは、シーラのことだ。
サシバの鳴き声が「ひゅっ釣りー」と聞こえるのだとか。それを聞くと、赤尾木湾にひゅーぬぃゆ、シーラが入ってくるのだという。
天候とにらっめこしながら船を出すかを決める。運のいいときには次々と掛かるらしい。
今回初めて船で釣りに連れて行ってもらった。
シーラ釣りはトローリングだった。
船を出す頃には、すでに、何艘かの船が沖に出ていた。
赤尾木湾は大きい。むかし隕石で出来たクレーターともいわれるが、綺麗な弧を描いている。
湾の入り口には、左に安脚場の灯台、右に蒲生崎が見られた。
龍郷の地理が何となく分かってきたこの頃だ。
さて、目当てのシーラは。
雨が降ると掛からないらしいが、先日の雨の影響か、全く掛からなかった。残念ではあるが、赤尾木湾を周遊出来ただけで、大満足だった。
青い海とさわやかな風と、朝日に光る雲が描く抽象画に見とれた。
見事な虹も湾を彩っていた。