人をしかったり、怒ったりするとき、用心しなければいけないと思っている。人間の底が見えちゃうからね。
私は、そのたびに、底の浅い人間だと自覚して落ち込む。
人に何かを伝えても、本人が気づかない限り、それは空気に舞う猫毛に等しい。
その言葉は、どこにも届かず浮遊し、虚しさが増す。
人の注意を聞けない人というのは、どういう暮らしをしてきたのかと思う。
いけないことはいけない。良いことは良いと、言ってもらえなかったのだろうか。いや、そんなことではないな。
たぶん、プライドの高さだろう。
掃いて捨ててかまわないほどのプライドを、誰にもまだ折られることなく持ち合わせているのだ。
ある意味、羨ましい、か?
と、ガサガサした心は、書けば書くほどガサガサし、眠れなくなり、布団の上でのたうち回る。
これって、すごく迷惑。迷惑きわまりない。止めよう、止めよう、そうだ、今布団に潜り込んだ猫のじんわりと伝わってくる、ほかほかとした暖かさに心を満たそう。
心穏やかになり、眠りは静かに訪れる。